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刺青と医師法 - 其の五
さてさて今月10日兵庫県明石市において
刺青施術をもって「医師法違反で逮捕」という出来事があり

刺青と医師法 - 其の壱
刺青と医師法 - 其の弐
刺青と医師法 - 其の参
刺青と医師法 - 其の四

と、4回ほど記事を書いてまいりましたが
刺青と医師法 - 其の四」から少し時間が経ってしまった

のにはちょっとした理由がごぜぇましまして・・・・・・・・

刺青と医師法 - 其の四の記事を書いた日の夜
日本の刺青の専門誌としては老舗になります「タトゥーバースト」誌の
美人編集長川崎ちゃんから電話をもらい
「良ければ手持ちの資料や情報なんかを届けますよ」との
嬉しいお申し出をいただきまして

時間の都合がつかずに1週間ほど経ってしまいましたが
昨日わざわざ僕のところまで資料を持参してくれました

その時に彼女の専門誌美人編集長としての経験に基づく
様々な情報や感想、考えなんかも聞かせてもらいました

僕自身わかっているので気をつけているんですが
それでも動き出したらついつい一目散になっちまいがちでして・・・・・・・・

こうやって気にかけてくれてわざわざ意見を聞かせに来てくれるなんて
ホントにありがたいです(涙

昨日は仕事の合間だったので予約時間が来てしまい
なんのもてなしもしない上に「ハイ終了、お時間です」
ってな事になっちゃったんで、改めてビールでも奢りますから
近いうちにまた遊びに来てね~(私信 to →川崎ちゃん)

と言う訳で、火照った頭を少しばかり冷ましていただき
改めて色々な考えができるようになりました

ホントはズバッと法解釈の屁理屈を
こねくり回してやろうかと思っていたんだけど

本件は10日に別事件起訴拘留中で
逮捕状が執行されてますから
週明けには勾留期限を迎えるでしょうし
僕の講釈よりリアルな方向性が示されます

思う所がありここで能書きを垂れる前に
やりたい事ができたので暫くオアズケでお願いします

暫しお時間をいただきますがこのシリーズは
止めてはいませんので必ず続けますからね

また、もしもこんな僕に「説教をしてやろう」てぇ
ご親切な方がいらっしゃいましたら是非是非ご連絡ください

広くひろ~~~~~~く
ご意見などお伺いさせていただけたら
なんまらなんまら嬉しいです


刺青|賽天 - www.psyten.com


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by psyten | 2010-07-27 17:39 | 刺青の周辺にあるもの
刺青と医師法 - 其の四
今回の摘発を機に(詳しくは刺青と医師法 - 其の壱を参照)
改めて刺青と法律、社会との関わりを再検証し
今後のあるべき姿を考察したいと記事を重ねてきました

刺青と医師法 - 其の弐で今回の逮捕要件である医師法について
刺青と医師法 - 其の参で近現代の刺青に関する法律を時系列に振り返り
大分以前に記事にした刺青と法律 - 其の壱刺青と法律 - 其の弐を引用して
整備されている法律全般を確認しました

今回は僕が刺青と関わりながら暮らし
仕事をしていく中で必要に応じ
収集した情報により理解してきた法解釈や
体験的に感じてきた法律との関わりなどから
得ていた現状の認識を述べてみたいと思います

刺青と医師法 - 其の参で触れたように
昭和23年5月、明治41年に刑法と同時に制定施行実施され
刺青を直接に禁止し取り締まり対象としてきた警察犯處罰令が
前年5月の新憲法の実施と合わせて見直し、改正の対象となり
それに代わる新たな法律として現行軽犯罪法が制定された事で
廃止になりました

この事を以て刺青師や刺青の愛好者は「禁止が解かれた」
「刺青が合法化した」と解釈をしました
刺青を具体的に処罰の対照とする条文が日本国の法律から
完全に消滅したのがその理由です

その解釈をさらに後押ししてきたのが

一、)それ以降半世紀以上に亘り「刺青を彫ったことを以て」
摘発された事例が1度もない事

一、)暴対法や青少年保護育成条例などで「青少年に対して」と
前提としてそれ以外には合法であると理解できるような
「刺青を禁止」する法令が整備されている事

一、)警察の捜査や裁判の過程などで刺青の施術の認知が
明確にあった事例が無数にあるにもかかわらず
その違法性により捜査、摘発されない事

一、)公的な場面や書類などで「刺青師」と明示しても
その違法性を司法、警察などから指摘されない事

一、)日常的に警察官に対し直接に「刺青師」である事が
認知されていてもその違法性が指摘されない事

等々で、我々は完全に適法、合法であると理解してきました

それに対し、ただ1点この理解に疑問を投げ掛け続けたのが
今回の「医師法」に関連して厚生労働省より度々出される
「通知」でした(刺青と医師法 - 其の弐参照)

きっと僕らは希望的、楽観的、無責任的解釈に終始し
都合の良い部分だけを採り上げて合法性を盲信し
都合の悪い部分を黙殺し続け、結果的に問題を放置し
今回の事態を自ら引き起こしたと言えるでしょう

それではこの「警察犯處罰令」廃止に伴う
法規制項目の削除と条例や暴対法による
限定的な処罰規制を以ての合法論と
医師法に関連する見解として
厚生労働省より通知される文書による
違法性の指摘とは法律の矛盾や
ダブルスタンダードなのでしょうか?

一つの事例に対して刑法的観点からは合法で
医師法からは違法ということなのでしょか?

長年僕自身もこの点はきちんと
整理できていませんでした

否、「整理できなかった」のではなく
自らの都合や事情により判断が偏り
正確な結論を導く事を避けてきたのでした

今回の摘発を受け、再び強い気持ちを持って
関係する各法令の文章や通知、裁判記録などを
より注意深く読み直すと見えてくるものがあります

最も重要な点を軽視または見逃していたのです

次回はこうして新しい解釈に基づき導き出された
僕の「総合的な法理解の結論」についてまで
辿り着きたいと思います


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by psyten | 2010-07-19 15:37 | 刺青の周辺にあるもの
刺青と医師法 - 其の参
第三回は医師法以外の刺青に関係する法律をみてみましょう
ここでは先ず現行法をみる前に少しだけ遡ってみます

昭和11年に発行された「文身百姿」を捲ってみると
(本書は以前取り上げましたね→記事はこちら
「文身と取締」という項で詳しく記述されています

必要部分を読み砕いていくと

文化8年8月
「輕きもの共ほり物致間敷旨」の禁令発布
罰則は「吟味の上それぞれ咎申し付ける」
という曖昧なものでした
これは実際には処罰された例はないとの事で
その後天保の改革の折などに
日常の様々な倹約令にあわせて
度々禁令が出されるも数年で弛み
処罰自体は行われなかったようです

この時代の刺青は他の奢侈や
表現、言論の自由などと共に
取締りの対象になっていました

それから施政者である幕府自体が倒されて
御一新と相成るわけですが
明治5年11月の「違式註違條例」により
刺青は今度は明治新政府から禁止され
罰則は75銭から1円50銭の罰金

そして明治13年7月に布告された刑法で
罰則が一日の拘留又は十銭から1円の科料

と、ここまでは非常に軽い扱いできましたが

明治41年9月に出た「警察犯處罰令」で
30日未満の拘留又は20円未満の科料で
時効が6ヶ月と少し重くなって
本書執筆の昭和11年を迎えています
この法律では実際に摘発が行われました

この期間の刺青の取り締まりは
開国にあたって諸外国の目を意識し
政府が市民達の文化や風俗などを
「野蛮」で「原始的、後進的」な
ものであると取締まっていたようです

そして大東亜戦争の敗戦に伴ない
江戸幕府が倒幕と共に社会を
掌握する力を失ったのと同様
当時の施政者である大日本帝国も
その施政権を剥奪されたことで
憲法を含む我国の法律全般が
見直されることになり
昭和23年の新軽犯罪法の公布と共に
それまでの刺青を禁止する法律が
廃止され現在に到ります


時代は流れて現在の現行法下では
青少年の保護と健全な育成を目的に
各都道府県で定めた条例と
平成4年3月に施行された暴対法にのみ
刺青(入れ墨と表記されています)に関する
項目があります

これらの法律は共に青少年の刺青に対して
その規制と刑罰を定めています
詳しくは以前の記事で取り上げていますので
確認してください

刺青と法律 - 其の壱(青少年保護育成条例を扱っています)
刺青と法律 - 其の弐(暴対法を扱っています)


次回以降では(刺青と医師法 - 其の弐)で取り上げた
医師法と今回取り上げた各法律やその経緯を合わせて
現在の刺青と日本の法律との関係を整理し
刺青の抱える問題や今後の善後策などを
より深く考えていきたいと思います


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by psyten | 2010-07-16 17:33 | 刺青の周辺にあるもの
刺青と医師法 - 其の弐
それでは最初に今回の逮捕要件である
「医師法違反(無資格医業)」について
考えてみましょう

医師法とはその第1章第1条に記されている通り
「医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて
公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の
健康な生活を確保するものとする。」事を目的に
昭和23年に成立、施行された法律です

全文の掲載は致しませんが(必要に応じてご確認ください)
要は上記目的の為に国は医師国家試験制度を整備し
厚生労働大臣により与えられた免許保持者以外の者による
医業を禁止し、この免許制度を運営する為の全般を定め
日本の医業やその有資格者である医師の職務などを規定する法律です

本法律で今回の事案に関連するのは
「第4章 第17条 医師でなければ、医業をなしてはならない。」
というこの法律の根幹に関わる一文です

この第17条に違反をすると罰則は
「3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれを併科」
という事になっています

ここで重要になるのが「刺青の施術」が「医業」に
該当するかどうかですね

実はこの辺りに関しては厚生労働省の通知という形で
(主に各都道府県関連部署宛に)発せられている文書が
数多くあり監督機関の認識を知る参考になります

僕はこの法律を勉強した際、最初は違和感を感じて戸惑い
理解するのに時間がかかりました

その原因は「医業を行う為には医師免許が必要」の
「医業」とは「治療を行う仕事」という先入観があったからです

この法律の全文を何度も繰り返し読み、先に挙げた通知などを
適せん読み続けていくと国や厚生労働省の基本理念は
「人体に何らかの作用を与える行為には安全の確保が必要」で
その為に医師国家試験制度を整備し免許保持者以外の者による
施術を禁止しているのです

ですから刺青やピアス、脱毛やエステ、マッサージはもちろん
髪や爪を切ったり、きっと耳掻きや鼻くそほじりにも
それを業として行うには「医師免許」が必要であると
厚生労働省は考えていると思われます

人体への接触を伴うあらゆる行為がその対象で
今後もこういった対象が順次摘発されていくでしょう

基本的には「医師免許」を取得せずこれらを業として行うと
医師法違反で罰するという考えです

繰り返しになりますが、その目的は「公衆衛生の確保」や
「国民の安全の確保」です
ここが非常に重要で、国家としてこの部分で妥協をする事が
できる筈がありません

ただしそれだけでは現実の社会の運営に問題も発生するので
あはき法(昭和22年施行)や理容師法(昭和23年施行)
美容師法(昭和32年施行)などによって医業類似行為や
医師法に抵触する可能性のある行為を含む業は
個別に法整備がなされ運営されています

余談ですがこうして法律の成立年を見ていくと
当時の社会情勢が浮き上がってきて面白いですね

本当はもう少し慎重かつ丁寧な検証が必要なのですが
第一義的には「刺青は医師法に抵触する」というのが
実際のようで管轄する厚生労働省もそう通知しています

以上が「刺青」と「医師法」の単純な関係です

ではなぜ半世紀以上も刺青が「医師法違反」で
唯の1度も摘発されなかったのでしょうか?

このブログを始めて間もなく
刺青を考える上では避けて通れない
法令との関係を考察すべく
条文に刺青(原文では入れ墨ね)の文言のある
2つの法令については記事を書きました

刺青と法律 - 其の壱
「青少年保護育成条例」(例として北海道の条例)を
刺青と法律 - 其の弐
「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(所謂暴対法ね)

この時に「医師法」についても書いたのですが
あまりに問題が複雑でみるみる膨張してゆき
収拾がつかなくなってしまってまとまらず
ブログ掲載には到りませんでした

その後はお得意のスットボケであります(涙

しかし今回は腹を括ってまとめていきますよ

・・・・・・・・つづく(汗


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by psyten | 2010-07-14 11:36 | 刺青の周辺にあるもの
刺青と医師法 - 其の壱
去る7月10日刺青の施術をその要件として
医師法違反(無資格医業)での逮捕者が出ました
(被疑者は既に別件で起訴済みであったため再逮捕)

同法違反適用での逮捕は史上初です

詳しくはこちらのニュースでどうぞ

ボディピアスやアートメイクなどでは
ここ数年逮捕から起訴、有罪判決が
出ており、十分に想定はされていました

が、歴史的経緯や外国も含めた現状など
また実際にこの仕事をしていて感じてきた
様々な認識などを持って「ないだろう」と
高をくくっていた事も否定できません

刺青を彫る為に生きてきた一人の人間として
この事案の推移を注意深く見守っていくと共に
これを機に法律的な観点にも重点を置いて
社会との関わり方や刺青文化の今後を
改めて丁寧に考えていきたいと思います

この問題は僕らにとって非常に重要かつ
複雑な問題ではありますが
まず最初に考えなければならないのは
我々最大の当事者である刺青師自身の
責任であります

周辺で発生している様々な問題を
無責任に放置し続けた結果が
今回の摘発であると考えています

これから何回かにわたり
真摯に真剣にそして丁寧に
問題を紐解いてゆき
今後の光明を探り当てたいと
願っています

堅い話が多くなると思いますが
お付き合いいただけたら嬉しいです


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by psyten | 2010-07-13 04:50 | 刺青の周辺にあるもの
ブランニューインフル
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新型インフルエンザが急速に感染拡大する最中
わざわざ飛行機に乗って来てしまった
今日からの一週間で目標3つの展覧会なんだけど
これはもう命懸け?

マスクは手放せません
・・・・・けど暑いね余計に

この暑いのに長袖着込んで、帽子にマスクに色眼鏡
完全に犯罪者です

どもにも収容される事なく帰れるんでしょうか?


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by psyten | 2009-05-18 23:24 | 刺青の周辺にあるもの
刺青と法律 - その弐
刺青と法律について予告していました第二弾です
(って随分と間が開き過ぎですね)

今回は所謂「暴対法」です

こちらは前回(刺青と法律 - その壱)のように「各都道府県の条例」ではなく、正式な(って変ですね)日本国の法律ですので地域によるばらつきがなく全国一律に施行されています

ここでこの法律を見ていきたいのですが、各条文が長いので刺青と関係する部分だけを抜き出しています

本来それでは不十分ですので、総務省行政管理局が官報を基にした法令データ提供システムへのリンクを下にはりますのでご確認ください

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律

では見ていきましょう

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
(平成三年五月十五日法律第七十七号)
最終改正:平成二〇年六月六日法律第五二号

第一章 総 則

(目的)
第一条 この法律は、暴力団員の行う暴力的要求行為等について必要な規制を行い、及び暴力団の対立抗争等による市民生活に対する危険を防止するために必要な措置を講ずるとともに、暴力団員の活動による被害の予防等に資するための民間の公益的団体の活動を促進する措置等を講ずることにより、市民生活の安全と平穏の確保を図り、もって国民の自由と権利を保護することを目的とする。


この法律の第一条でその目的が定義されています

暴力団と暴力団員の活動や抗争は市民にとって危険であるからその保護の為に様々な措置をとる、ということですね

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 暴力的不法行為等 別表に掲げる罪のうち国家公安委員会規則で定めるものに当たる違法な行為をいう。
二 暴力団 その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。
三 指定暴力団 次条の規定により指定された暴力団をいう。
四 指定暴力団連合 第四条の規定により指定された暴力団をいう。
五 指定暴力団等 指定暴力団又は指定暴力団連合をいう。
六 暴力団員 暴力団の構成員をいう。
七 暴力的要求行為 第九条の規定に違反する行為をいう。
八 準暴力的要求行為 一の指定暴力団等の暴力団員以外の者が当該指定暴力団等又はその第九条に規定する系列上位指定暴力団等の威力を示して同条各号に掲げる行為をすることをいう。

この法律で該当する対象を定義しています

第四章 加入の強要の規制その他の規制等

第一節 加入の強要の規制等

(少年に対する入れ墨の強要等の禁止)
第二十四条  指定暴力団員は、少年に対して入れ墨を施し、少年に対して入れ墨を受けることを強要し、若しくは勧誘し、又は資金の提供、施術のあっせんその他の行為により少年が入れ墨を受けることを補助してはならない。

(少年に対する入れ墨の強要の要求等の禁止)
第二十五条  指定暴力団員は、他の指定暴力団員に対して前条の規定に違反する行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、又は他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けてはならない。

(少年に対する入れ墨の強要等に対する措置)
第二十六条  公安委員会は、指定暴力団員が第二十四条の規定に違反する行為をしており、かつ、当該行為に係る少年が困惑していると認め、又は当該行為が当該少年の保護者の意思に反していると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
2  公安委員会は、指定暴力団員が第二十四条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、少年に対して入れ墨を施すこと、少年に対して入れ墨を受けることを強要し、若しくは勧誘すること又は資金の提供、施術のあっせんその他の行為により少年が入れ墨を受けることを補助することを防止するために必要な事項を命ずることができる。

第二十七条  公安委員会は、指定暴力団員が第二十五条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、他の指定暴力団員に対して第二十四条の規定に違反する行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆すこと又は他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けることを防止するために必要な事項を命ずることができる。


ここで具体的に刺青に関する規定が登場しますが、これらはどれも「少年」に対しての「刺青(ここでも法律では”入れ墨”と表記されていますね)」を彫ることを強要、勧誘、補助することにつながるような「行為」ついての記述になりますから、以前紹介した「青少年保護に関する条例」と「対象となる行為」が重なりますね。

わかりやすい違いは「罰則」に対して特別に言及がなく、これらの行為が認知された場合、「公安委員会は防止するために必要な事項を命ずることができる」としている点でしょう

また法律というのは細かく改訂や追加などが行われており、下により

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律施行規則
(平成三年十月二十五日国家公安委員会規則第四号)

最終改正:平成二〇年一一月一七日国家公安委員会規則第二五号

 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定に基づき、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律施行規則を次のように定める。

(少年に対する入れ墨の強要等に対する措置命令の方法)
第二十六条  法第二十六条第一項の規定による命令は、別記様式第七号の中止命令書を送達して行うものとする。ただし、緊急を要し中止命令書を送達するいとまがない場合であって、当該命令の内容が複雑なものでないときは、口頭で行うことができる。
2  法第二十六条第二項又は第二十七条の規定による命令(これらの規定に係る仮の命令を除く。)は、別記様式第八号の再発防止命令書を送達して行うものとする。

(離脱の意志を有する者に対する援護の措置等)
第二十七条  法第二十八条第一項の規定により公安委員会が行う援護の措置は、次のとおりとする。

九  指詰め(法第二十条の指詰めをいう。)をしたことによる手指の特徴又は入れ墨を目立たないようにするための施術を受けようとする離脱者又は当該施術を行う者の求めに応じ、当該離脱者の離脱の経緯の説明その他離脱者が当該施術を受けることを容易にするために必要な事項を教示すること。


ということになっているようです

ここで注目する所は「入れ墨を目立たないようにするために~必要な事項を教示する」ってところですが、いったい法律はどんなことを想定しているんでしょう

離脱者といっても最終的には自らの意思で不良になった訳だし、脱退するにあたってそんなことまで要求するような輩がいるんでしょうかね?

以前紹介(刺青と法律 - その壱)した「条例」も今回紹介した「暴対法」もその刺青に関する大部分は「少年」に対する保護を目的としているように思えます

僕らの時代(暴対法施行以前)までは中学を卒業する前から不良の事務所に出入りしていたり、優秀?な奴は中学生で既にスカウトの声が掛かっていたりしたものですが、そんな風景も今は昔

たしかに「大切な将来のある青少年を社会が保護する必要がある」という理屈はもっともです

しかし法律などによって保護することだけが彼ら青少年にとって本当に為になることなのでしょうか?

僕の所にも時々子供たちから「刺青を彫りたいんだけど」とか「刺青師になるにはどうしたら良いですか?」などの問い合わせがあります。

こういった規制がやかましいので、どうしても彼らに対して「事務的に拒絶」するような対応に終始してしまいます

関わること自体がリスキーで、事なかれ主義の対応に自分でも無責任だと感じます

刺青に限らず少年少女の保護の為の規制がヒステリックに叫ばれる現代

我々大人は彼らと真正面から向き合っているのでしょうか?


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by psyten | 2009-03-18 21:56 | 刺青の周辺にあるもの
刺青と法律 - その壱
刺青は医業や理美容業などの様に
その業自体の職務や資格などを
規定した法律は
日本では制定されていません

そこで何回かに分けて
刺青と関連すると思われる
日本の法律について
書いてみたいと思います

ここで取り上げる法律とは
法律用語で厳密に
規定されている範囲ではなく
一般に考えられているであろう
国家や自治体などが制定し
違反すると警察の厄介になったり
裁判所のお世話になったり
というもの全般ついてである事を
理解してお読みください

僕らのように刺青を業として
行っている者にとって
一番身近に感じるのは
各地方自治体の制定する
青少年の保護や育成を
目的とした条例でしょう

条例とは国家の定める
法律ではなく
都道府県などが
日本国憲法第94条を根拠に
制定しているものです

ですからその行為の
行われた場所によって
事情が大きく変わってしまいます

本当はすべての地域について
書く事が出来れば良いのですが
それはご勘弁いただきたい

そこで一例として
北海道のこれに関する条例を
見てみましょう

北海道青少年保護育成条例

第1章 総則

(目的)
第1条 この条例は、青少年の
福祉を阻害するおそれのある
行為を防止し、その健全な
保護育成を図ることを目的とする。

(定義)
第2条 この条例で「青少年」
とは、学齢の始期から満18歳に
達するまでの者をいう。
ただし、女子であって配偶者の
あるものを除く。
2 この条例で「保護者」とは、
親権を行う者、後見人、児童
福祉施設の長、その他の者で、
青少年を現に監護するものをいう。

(保護者の責任)
第3条 保護者は、この条例の
定める禁止及び制限事項について
青少年の善導の責任を
負わなければならない。


この条例の冒頭で
示されているのは
第1条でその目的を
第2条では青少年の定義を
第3条では保護者の責任です

そして第4条から第30条までに
わたって具体的に罰せられる
行為を規定しています

そして第34条から第37条までに
この条例の運営に関する
規定があり

第38条から第47条で
罰則について規定されています

では刺青については
どのような行為が
罰則の対象になっているか
見てみましょう

これはこの条例の
第23条と第24条によって
示されています

第2章 青少年の福祉を阻害する
おそれのある行為の制限等
第1節 有害興行の制限等

(入れ墨の禁止)
第23条 何人も、青少年に対し
入れ墨を施してはならない。

2 何人も、青少年に対し、
入れ墨を受けることを強要し、
勧誘し又は周旋してはならない。

(場所の提供等の禁止)
第24条 何人も、次の各号の
いずれかに該当する行為が
青少年に対して行われ、
又は青少年がこれらの行為を
行うことを知って、場所を提供し
又は周旋してはならない。

(1) 第22条に規定する行為
(2) 前条に規定する行為
(3) 大麻、麻薬又は覚せい剤を
不法に使用する行為
(4) 毒物及び劇物取締法施行令
(昭和30年政令第261号)
第32条の2に規定する物を
みだりに摂取し又は吸入する行為
(5) 飲酒又は喫煙


という内容です

そして罰則が規程されています

第4章 罰則

第38条 第22条第1項
若しくは第2項又は第23条の
規定に違反した者は、1年以下の
懲役又は50万円以下の
罰金に処する。

第44条 第22条又は
第23条の規定に違反した者は、
当該青少年の年齢を知らない
ことを理由として、第38条又は
第39条の規定による処罰を
免れることができない。ただし、
当該青少年の年齢を知らない
ことに過失がないときは、この
限りでない。

第45条 法人の代表者又は
法人若しくは人の代理人、使用人
その他の従業者が、その法人又は
人の業務に関し、第38条から
前条までの違反行為をしたときは
行為者を罰するほか、その法人
又は人に対しても、各本条の
刑を科する。


と以上です

この条例自体の制定は
昭和30年ととても古いのですが
常に議会で決定された内容が
更新され続けて
現在に至っていますので刺青が
(法律などでは入れ墨と表記)
いつから禁止事項になったのかは
調べていません
(手抜きでごめんなさい)

他の都道府県でも
既に制定されている事が
ほとんどで
制定されていない所でも
次々に制定される
傾向にあるようです

内容を噛み砕いて言うと

「満18歳未満の者に(第2条)」
(例外規定がありますが
詳しくは条文を見てください)

「刺青を彫ったり、強要したり
勧めたり、仲介したり
紹介したり(第23条)」

「その場所を提供したり
すると(第24条)」

「1年以下の懲役又は
50万円以下の罰金が
課せられ(第38条)」

「満18歳未満とは
知らなかったでは
済まされませんよ(第44条)」

「そして人を使って
刺青を行っている場合
行為者本人だけでなく
その雇い主や代表者も
同罪です(第44条)」

となります

全国でみると年間で
数件の検挙例があり
検挙された場合には
留置拘留期限一杯
(72時間+10日間+10日間)
まで引っ張られて
罰金パイか
起訴を打たれて
未決拘留で
裁判に2~3ヶ月かかり
お弁当という感じで
考えたらいいと思います

ここで注目するのは
刺青を彫った行為者だけでなく
刺青師を紹介したり
刺青を彫る事を勧めた場合も
罰則の対象となっている事です

お子様に刺青師や
タトゥスタジオの連絡先などを
教えたりする行為も
違法行為ですので
皆さん大人として自覚のある
行動をいたしましょう


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by psyten | 2008-09-16 00:53 | 刺青の周辺にあるもの
文楽 - その弐
8月20日の文楽 - その壱
予告したとおり
文楽 - その弐を
いってみたいと思います

今回は刺青と文楽について

といっても
文楽が直接に
刺青になったわけではなく
順序としては文楽を
楽しんでいた人々がいて
その物語や場面
登場人物などに
人々が何かを
感じていたわけです
(江戸時代の話ですよ)

そして同時に錦絵があり
絵画的には
その錦絵の表現をつかって
文楽と刺青のイメージを
つないでいったと考えられます

また実際に刺青を施術する
職人たちも
刺青の下絵を錦絵に求めたり
彫客や彫師が
錦絵の絵師に下絵を
依頼したりしたものです

そうして取り上げられた
題材はとても多く
現在まで親しまれているものも
少なくありません

- 時代物と世話物 ---------
当時(江戸時代)より
過去を舞台にしたものを時代物
対して当時でいう現代劇を
世話物といいます

刺青の題材としては
非現実的な脚色の
多彩な時代物が
圧倒的に多いように感じます

また当時は現代劇に対して
様々な規制が設けられ
弾圧が加えられていたことも
影響しているでしょう
-----------------------

これらは文楽に
限ったわけではなく
同時代の謡曲や読本
歌舞伎や舞踊、能や狂言など
様々な方法により表現され
人気の高いものは
複数の方法で採用されました

c0162826_18181199.jpg鬼一法眼三略巻
1731年
文耕堂、長谷川千四の合作
(翌年歌舞伎でも上演されています)

牛若丸(源義経)や
鬼若丸(武蔵房弁慶)に
大変な人気があるのも
単なる史実の義経に対する
いわゆる判官びいき
というだけでなく
こういった娯楽作品の
影響が強いのだと思います



c0162826_18184310.jpg他にいくつかを挙げるだけでも

本朝廿四孝の八重垣姫
国性爺合戦の和藤内
義経千本桜の知盛
金幣猿島郡の瀧夜叉姫
天竺徳兵衛韓噺の天竺徳兵衛
雲龍九郎偸盗伝の雲龍九郎
児雷也豪傑譚話の児雷也
夏祭浪花鑑の団七
青砥稿花紅彩画の弁天小僧

などなど数え上げたら
きりがありません

物質至上拝金主義で
あらゆることに
損得を最優先する
現代の世の中では
ピンとこなかったりする
内容も多くあるとは思いますが

本来人間が生きていく
という本能の部分に
よりストレートに訴える
何かがあります




僕たちがいま暮らしている
現在の時代や社会などは
ごく一時的な
偶然の上にだけ
成り立っているものです

人間が生きるということ
その信念の部分には
そういった「一時的偶然」は
さして重要ではなく
本来あるべき
一個の人間が生きる
ということを理解するうえでは
様々な「一時的偶然」から
その本質を篩いだすことも
一つの方法であると思います

これら当時の
娯楽の中に隠された
人間の本能の部分にかかる
罪悪や障壁に対する
骨太の反骨心が
刺青というものを生み
育てたのだと考えています

なんだか長くなってしまい
しかも「文楽」というテーマからも
離れてきてしまいました

文章もだいぶ乱れており
このまま語りだしたら
どんどん長くなってしまいます

追々このブログで
「刺青」というものについても
語ってみたいと思います

コメント欄からの
内容の正誤に対する
ご指摘やご意見など
大歓迎です

長々とした講釈に
お付き合いいただき
ありがとうございました

季節の変わり目
体調などを崩されませんよう
お身体どうぞご自愛ください


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by psyten | 2008-08-23 18:23 | 刺青の周辺にあるもの
文楽 - その壱
日本には古くから語り物の芸能がありました
琵琶法師による平家物語なんかを
イメージしてもらえばよいと思います

楽器の演奏や効果音などをバックに
語り手が演技をつけた調子で
臨場感を演出したエンターテイメントです

15世紀ころに「浄瑠璃姫物語」という作品がうまれ
この作品がたいへんに流行し
このような語り物全般が「浄瑠璃」と
呼ばれるようになりました

またこれとは別に人形を遣った芸能も古くからありました
傀儡師と呼ばれた人たちが人形を操る人形劇です
14世紀頃になると彼らは一座を組んで
諸国を廻るようになったそうです

17世紀ころにこの2つの芸能が結びついて
人形浄瑠璃と呼ばれる新たな芸能がうまれました

そしてこの人形浄瑠璃を大きく発展させたのが
太夫(語り手)の竹本義太夫と
脚本家の近松門左衛門です
彼らの浄瑠璃は「義太夫節」と呼ばれ
熱狂的な支持を受けることになります

人形浄瑠璃は
18世紀に更なる発展を遂げ
様々な名作が上演されました

しかし18世紀後半になると
ほかの芸能の人気に押され
人形浄瑠璃は下火になり
これらを上演していた劇場も
しだいに没落してゆきました

そんな中19世紀に入り植村文楽軒が
大阪高津橋に新しい劇場をつくり
人形浄瑠璃を再興させます

この劇場は明治42年まで続きました
(その後松竹が経営)
当時この「文楽座」が
唯一の人形浄瑠璃劇場であったため
人形浄瑠璃のことを
「文楽」と呼ぶようになりました

今日のタイトルが
「文楽 - その壱」となっているのは
「その弐」を考えているからです

なんでかっていうと
この「文楽」の演目を題材にした刺青がたくさんあり
本題はそっちなんですな

というわけで
次回をお楽しみに!(してる人がいたらいいなぁ)


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by psyten | 2008-08-20 23:05 | 刺青の周辺にあるもの



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